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住職のつぶやき
今年の桜は早い開花でしたが、
それでも例年以上の姿を見せてくれました。 重いコロナ色の空気の中に咲き急いだピンク色の下を行き交う多くの人のマスクが雪柳のように揺れるのでした。
さて、春の永代経の時節となりました。 昨年は毎日伝えられるニュースに恐怖と不安を抱える日々で、とても皆さんが集まれる状況ではなく、やむなく中止としました。
あれから一年、コロナは終息の予兆をみせる事もなく、更なる変異種とやらが猛威を奮いそうです。 本来なら案内を出すべき時期が過ぎてしまっていますが、また緊急事態宣言が発出されたらと思うと、・・・躊躇(①グズグズして前に進まない。②迷って決心がつかない。)していました。
この一年、人々のココロは内向し、他と交わる事を拒み躊躇する社会が形成されつつありますが、今だからこそ、人と人との繋がりの大切さを見直す機会として永代経を勤修したいと思います。 (2021年5月)
今年も間もなく暮れようとしていますが、
皆さんはどのようにお過ごしでしょうか? オッと、阿呆な事、聞かんとき!と、ムッとしたお顔が迫ってくるようであります。 ご尤もであります。 ニュースでは毎日毎日感染者の数を挙げ連らね、ワイドショーはワクチンがどうの、後遺症がどうの、メシ食うときは、マスクは・・・・・・と、「新型コロナウイルス」の話ばかりであります。 2月のダイヤモンド・プリンセス号の集団感染からほぼ一年が経とうとしています。 コロナも今は第三波だそうで、今年の一年は何もせず何も出来ずでしたが、ホント、チョ~早く過ぎ往きそうであります。 この波がいつ収まるのか、第四波はいつ来るのか、どうにも先が見えません。 人々の不安は〝咳ひとつ〟で人間関係に溝を生じさせ、「コロナの日常」は孤独を作り、失ったモノはなかなか元には戻りません。 どうぞ気をつけて買い物に行きましょう。 気をつけてお友達にも会いましょう。 1月の報恩講も気をつけて勤修出来たらいいな、 皆さんが来れたらいいな.『 世の中 安穏なれ 』 (2021年1月)
「立秋の候 いかがお過ごしでしょうか」
・・・・・・と、ご丁寧に「二十四節気」で挨拶されたって、長げぇこと大そうな雨、降られてヨ、家、流されてぎょうさん死んじまってヨ・・・・。 やっと梅雨が開けて、これからがクソ暑い夏本番だって~のに何が秋の始まりだ!! まア、いいや・・・・、 ところで、「新型コロナウイルス」って奴、往生こくぜ。 人が寄っちゃいけねえってンだから始末におけねぇ。 孫は卒業式も入学式も、修学旅行も無かったんだぜ、 仕方無えとはいえ、何もかも止めちまってよ、 可哀想すぎらァ。 「暦」じゃねえけどヨ、人間にだって節目がいるンだよ。 何かあればみんな集まってヤイノヤイノやるンだよ。 そーやって交わり合いながら一つンつ年喰っていくのさ。
それにしてもこのウイルス、流行語大賞には事欠かないぜ。「緊急事態宣言」とか「アベノマスク」、身勝手な正義を振りかざす「自粛警察」とか、「ソーシャルディスタンス」とかナ。 だけど、こんな「新しい日常」が当たり前になっちまったら、 今日日、それでなくってもシラケとるってか世知がないってのに、益々人間の関わりが薄くなっちまう。
・・・・・ほんと、コロナは怖いぜ。 (2020年9月)
空がまぁるく、とても大きい。
バス通りからちょっと入ると、シーンという言葉そのままの静寂。 時折、聞こえる鳥たちの声が凛とした空気を和らげてくれる。 ただただ広い芝生の向こうに、白い小綺麗な住居群が見える。
ここは多摩全生園。 ハンセン病の強制隔離施設だった所です。 全国には13の国立ハンセン病療養所があり、愛知県の方もココに収容されていました。 1947(昭和22)年には1221名が収容され、今も166名が生活されています。 皆さん回復者です。
1931(昭和6)年、「癩予防法」の隔離政策によって家族や故郷から強制的に引き離されたハンセン病患者の悲惨で過酷な人生は、1996(平成8)年の「らい予防法」の廃止によって漸く解放されたのでした。
・・・・・・しかし、喜びも束の間、長い年月と病痕は帰る場所を残しておいてはくれませんでした。過去10年の間に全国のハンセン病療養所の退所者が、高齢化に伴う不安、差別や偏見によって129名が再入所しているのです。 そしてココの納骨堂で安らぐのです。
二度の絶望を味合わせたのは、私たち世間なんです。 (2020年1月)
「ハンセン病」(らい病)は、
手足や顔に後遺症を残すことにより、完治するにも拘らず差別と偏見の歴史を抱えてきた。 この病気を患った者は、世間の目を逃れて暮らしていたが、家族に迷惑をかけられないと放浪の旅に出る者も多く現れた。
1907年「らい予防に関する件」が制定され、これらの人を療養所に入所させ、一般社会から隔離したが、ハンセン病は危険だと偏見を大きくした。
1929年の「無らい県運動」は、各県が競って隔離政策を増長し、1931年には全患者を対象とする「らい予防法」が制定され、1996年の廃止まで国は偏見と差別を助長してきた。 2001年、「ハンセン病補償金支給法」が施行され、2019年、患者の家族に対しても賠償を認めた。
療養所での語り尽くせない人権差別や、その家族に対して国は一応の決着を見せたが、これで終結してしまうのか。 偏見による差別の根源が 私たち一人ひとりであったと直視できたのでしょうか。
「ベン・ハー」「砂の器」「わたしが・棄てた・女」「あん」など、多くの小説の中にも「ハンセン病」が取り上げられているんですよ。 (2019年9月)
今の天皇は初代神武天皇から
百二十五代目にあたります。 最初の元号は三十六代孝徳天皇による「大化」で、「平成」は247番目だそうです。 天皇と元号の数が違いますが、これは飢饉・災害・疫病など凶事があると改元して新しい時代を始めたんですね。 一世一元になったのは徳川幕府が倒されて新政府となった「明治」からなんです。 その新しい時代も「明治」「大正」「昭和」と、海を渡った戦の連鎖でした。 多くの人が亡くなりました。 だからこそ昭和の終戦から平成までの74年間、「人が人でなくなる、地獄のような悲惨な戦争は二度としない」と、国民は強い懺悔と痛みを共有してきたのです。
さて、5月には平成天皇は皇太子さまに譲位され、そして「令和」と元号が変わります。
「平和ボケ」と国民を煽り、あの時代に向かって 進軍していく日本政府に対し、平和を永く受け伝える時代となるよう、強く願われた「改元」ではないかと勘ぐってしまうのです。 (2019月5月)
台風十二号は関東に上陸して、
西日本へ逆走していきました。 誠に奇異な事だそうです。
「異」といえば異常、今までに無かった、違うという事です。 7月は日本中を猛暑と熱風が襲いました。 埼玉県では41.1度の日本新となり、名古屋でも月の半分以上が猛暑日(35度以上)でした。また西日本では豪雨が襲い、土砂崩れが各地で発生しました。そして多くの人が亡くなってしまいました。
異常な現象は世界中で頻発しています。 噴火や地震、竜巻、山火事、豪雨・洪水、どれもがスケールアップして発生しているんです。 そして多くの人々や動物のいのちが失われ、生活環境や生態系が破壊されているのです。まさに天変地異なんです。
これらの原因は地球の温暖化にあると、数十年も前から警鐘されてきた事なのに、人類の幸福は繁栄にあると無視続けてきた人間の傲慢さに、罰が下されているのではないでしょうか。 (2018年9月)
とっても温かい「ありがとう」のお話です。
主人公は大正10年9月22日生まれのおばあちゃん。 名前は弘子さん。 脇を固めるのは、おばあちゃんのいる施設の職員の皆さんです。
弘子さんの口癖は「ありがとう」です。 職員が当たり前のお世話をしても「ありがとう」。 些細な事でもニコッと微笑んで「ありがとう」。 何は兎も角「ありがとう」。 吐く息も、「ありがとう」です。 そんな弘子さん、とってもお元気だったのに誕生日を前にして脳梗塞で倒れてしまいました。
・・・・さて最後の舞台は弘子さんのお部屋です。 当日、職員の皆さんは迷うことなく誕生会を開きました。 意識の戻る事のない弘子さんを囲んで、 ケーキのろうそくに火を点し、「ありがとう」いっぱいの『ハッピーバースディ』を歌いました。
その二日後、主人公、弘子さんは名脇役たちに看取られ、静かに息を引き取りました。
寂しいけれど、みんな幸せでした。 (2018年5月)
吹き出す汗に起こされ、鏡に映るゲッソリした顔は
なんとも哀れ。 これでもかと畳み掛けるようなセミの合唱に、ウルサイ!と言いたくなる。 冬ならいいのに、と思うのは私だけか。
騒がしいといえば、国会と先生方。 嘘、誤魔化し、小馬鹿にした白々しい答弁、挙句の果てパワハラだ不倫だと、「マネしちゃいけない」お手本のオンパレード。 その安倍政権、国家主権の政治は、私たちの個人情報を管理し、逆らう者は排除し、強い者と弱い者の二層社会を作ろうとしているようです。 さて、相模原の障害者施設で大勢の人たちが殺されたのは、ちょうど一年前。 この犯人は障害者を「劣る」とし、「障害者自身のため、国のため」に安楽死を与えたという。 「民族の血を劣化させる者を排除する」と何十万人を抹殺したナチス。 この三者に共通する優生思想に、『人のいのちに優劣などない』と、私たちは断固闘わなければならないのです。 (2017年9月)
♪「貴様と俺とは~同期の桜~~」
園児たちの声が聞こえてきます。 とっても元気な歌声です。 旭日旗を振って、敬礼までしています・・・。
ここはアノ塚本幼稚園。 今回のお話は国有地払下げ疑惑(権力の側にいた人が、権力に見限られて権力と喧嘩する醜い話)ではなくて、その事によって露見した子どもたちの教育について考えましょう。
この子たちが歌っているのは軍歌です。 戦前戦中、拳を上げて戦意高揚を図りました。 戦う事に迷った人たちを叱咤激励した歌です。・・・「朕惟フニ、我ガ皇祖皇宗・・・」 これは『教育勅語』です。 子どもたちが毎日大声で唱えているようです。 「忠君愛国」の道徳観を教え込もうなんて、驚きました。 ソウソウここの園長さんは安倍さんと考え方がとっても近くて、教育は「美しい国」作りの第一歩だって! 敗戦に誓った「平和憲法」も改憲されそうだし、この国は、まっしぐらに戦前に向かっているようです。
♪「そうだ うれしいんだ、生きるよろこび~~」 やっぱり子どもたちにはアンパンマンの方が絶対いいよネ。 (2017年5月)