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住職のつぶやき
この年頃になると時間(とき)の移りは恐ろしく早いもので
間もなく数十回目のお正月を迎えようとしています。 何とも有難いことです。
さて、悲惨な体験から学んだ平和主義の礎は、戦後70有余年間、少なくとも武器によって人を殺さず殺されずに済んできました。 ・・・・・本当に有難いことです。 ところがPKOの名のもと、政治の手先とされた自衛隊員が南スーダンへ行ってしまいました。 人を殺し、殺される処へ。 帰還しても殺人者として口を閉ざして生きていかなければならない、そんな新たな戦争犠牲者が生まれなければいいのですが・・・。 また、「核兵器禁止条約」に対しても唯一の被爆国である日本が明確な態度を表明できない。 「非核三原則」はどうなったんでしょうか。 原子力空母エンタープライズの佐世保入港の時は、大騒ぎだったのにネ。 そして「原発」。 福島第二を廃炉にする技術も無いのに、コントロール出来ない放射能を輸出しようと。
なんとも、傲慢で不可解な国になっているようです。 (2017年1月)
障害者施設を狂気が襲いました。
眠りの中にいたであろう人たちは、「障害者は生きている価値がない」と次々に殺されてしまいました。 この犯人は障害者を「劣る」とし、「障害者自身のため、国のため」に安楽死を与えたというのです。 「民族の血を劣化させる者を排除する」と何十万人を抹殺したナチスを英雄と気取っているのでしょうか。
さて、当寺では「身元調査お断り」「過去帳閲覧禁止」を掲げていますが、三十数年前までは町内会長さんやお寺へ「聞き取り」にこられる人がいたようです。 障害のある人のいる家庭では、その親族の結婚や就職に影響するので、世間の目に触れさせまいとしていました。 ハンセン病患者もそうでありましたが、これらは遺伝する、うつると世間がつくり出した偏見に他ならないのです。 そしてその世間こそ私たち一人ひとりなんです。 当たり前ですが、人(いのち)に優劣や上下など、有る筈がないではありませんか。 (2016年9月)
熊本で大地震が起きた。
その足元には再稼働したばかりの川内原発。 5年前の記憶が瞬時によみがえる。
テレビでは被災地の映像が流され、一人でも多くの「いのち」を助けようと戦う自衛隊員の姿に、「頑張ってください」「お願いします」と念じる国民も多いことと思う。
さて、A首相、とうとう「安全保障関連法」、施行させてしまいました。 「特定秘密保護法」もありますから、もう怖いもの無し、何でも出来ます。
敗戦に誓った「憲法九条」「非核三原則」も「改憲」「武器輸出」「核の保有」へ。 福島から学んだ制御できない原発は「再稼働」「原発輸出」へ。 膨らむ防衛費のために犠牲となる「教育・福祉」、そして私たち・・・・。 この国は、真っ逆さまに「富国強兵」「戦える国」を目指しているようです。
泥まみれで「いのち」と向き合っていたあの正義の味方、自衛隊員たちに「人を殺したり、殺されたり」させたくはありません。 絶対に! (2016年5月)
美(み)蒼(そら)といいます。
「美しく蒼い空」という意味なんだって。 そんな素敵な名前を付けて貰っても、僅か16日間しか生かさせて貰えませんでした・・・・
2015年5月7日、夜でした。 ママやパパはスマホのゲームに熱中しています。 わたしは寂しかったので何度も呼びました。 時々わたしの方を見ましたが構ってくれませんでした。 退屈だし、お腹も空いてきたし、オムツも濡れて気持ち悪いので、もっと大きな声で呼びました。 そしたら「うるさい!」と言って、立ち上がってわたしの方に来ました。 抱きかかえられたかと思うと、アッと思う間もなく、そばにあったゴミ箱に押込まれたのです。 突然の事でどうなったのか判りませんでした。 それは高さ20センチ、直径20センチの大きさだからとっても窮屈です。 わたしは止めて!と言いました。 すると頭から別のゴミ箱をかぶせられたのです。
暗くて、息苦しくて、悲しくて、ママ、ママと叫びつづけました。 どうして? ボーっとしてきました、 後は分かりません・・・・・。 (2016年1月)
暑い、とにかく熱いですね。
そして毎年のことですが、「特別の」八月がやってきました。 広島・長崎に原爆が落とされ、310万人の日本人が犠牲となった、十五年戦争が終結した八月。 その悲痛と懺悔の八月も70回目をむかえます。
ところが、今年の夏は「特別の」意味が違うようであります。 アベさんの『戦後七十年談話』からは「植民地支配と侵略にともなう心からのおわび」は消えそうでありますし、 戦争のなかった日本を平和ボケと一蹴し、戦争に巻き込まれそうな『安全保障関連法案』を強行採決しようとしています。 福島の人たちが行き場のない中、『原発の再稼働』するのも軍需産業のエネルギー確保のような気がします。 政府批判・告発すれば捕まってしまう治安維持法のような『特定秘密保護法』はすでに施行されていますし、『マイナンバー制度』が実施されれば、もう私たちの自由は奪われたも同然であります。
皆さん! 何とかしなければ・・・・・・・・ (2015年9月)
民意が反映されやすいとされる統一地方選挙が
あります。 あなたや子どもたち、町の未来を変えてしまう可能性があります。 原発や軍事施設のある自治体は尚更です。 だから投票にはお出かけ下さいネ。
・・・・しかし、昨今はそうはまいらんようです。 「原発」や「特定秘密法」、「憲法改悪」など、民意は悉く届かぬようであります。 沖縄も普天間基地移設で国と対峙しております。
日本にある米軍基地の74%が沖縄にあって、沖縄本島の18%の面積を占めています。 これは名古屋市でいえば瑞穂・南・天白・熱田区に立ち入り出来ない事と同じです。 沖縄の1500キロ圏内には上海、平壌台北やマニラなど東アジアの主要都市がすっぽり入ります。 沖縄は絶好の「不沈空母」なのです。
そして国は言います。 「国家の安全のため」に「捨て石」になれと。 かつてあの大戦で本土防衛の時間稼ぎのため県民の四分の一が亡くなり、「捨て石」とされた人々の痛み、苦しみに耳を傾けれない国のどこが「美しい国」と言えるのでしょう。 (2015年5月)
心優(みゆ)ちゃん、紗弥音(さやね)ちゃんは
二人とも3才でした。 心優ちゃんはママに橋の上から落とされてしまいました。 紗弥音ちゃんは食事を与えてもらえませんでした。 彼女の小さなお腹の中にあったのはアルミ箔とロウ、玉ねぎの皮でした。
これは「虐待防止推進月間」の11月の事件です。
空腹のあまり紙おむつやプラスチックのおもちゃ、おしっこやうんこまで食べた子もいました。 ネグレクト(育児放棄)によって餓死しなければならない子が毎月いるのです。 洗濯機やオーブンに入れられた子、吸殻や唐辛子を口に押込まれた子、ゴミ袋に捨てられる子が毎月いるんです。 虐待は十年前の5倍以上、激増しています。
弱い者には傲慢に、都合の悪いものは排除する・・・、現代社会の縮図がそのまま自分の子どもにまで・・・・。 それにしても、みんな素敵な名前を貰っています。 それがなんとも哀しくてなりません。 (2015年1月)
あの夏の暑い日、
青白い閃光が広島と長崎の空を引き裂きました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「♪ドシラ♪ドシラ♪ドシラソラシドシラ ♪ドシラドシラ♪ドシラソラシドシラ・・・・・・」
そう!『ゴジラ』です。 今年はゴジラ生誕60年、私も生誕60年(こっちは関係ないですが)、その1954(昭和29)年、ビキニ環礁の水爆実験で「第五福竜丸」や多くの漁船が被曝し、モスクワで世界初の原発が稼働しました。 戦後僅か9年、8千万人の悲しみが癒えぬまま、世界はすでに原子力兵器と原子力発電にしのぎを削っていたんです。 ゴジラはその時、水爆実験の落とし子として、放射能の脅威を人類に警鐘すべく現れたんですね。
それなのに今や〝平和〟のための1万7千発の核爆弾と、〝繁栄〟のための450基の原発が散在しています。
メルトダウンも戦争も、絵空事のようにしか見られない未熟な権力者たちの「美しい國づくり」に、私たちは踏み潰されてはならないのです。
「ギャオオォォ~~オォン」 (2014年9月)
『アンネの日記』が物騒な話題となりましたが、
同時に、こころの隅っこにいた懐かしい記憶の引き出しが開きました。
「日記」という言葉には魔法がかかっていて、遠いあの頃にひとっ飛びです。 紙やインクの匂いがして、そこには自分一人の真実と空想があって、秘密めいたそのページには甘酸っぱさがありました。 「三日坊主」という四文字熟語を覚えたのもその頃でした・・・。
さて、アンネは恋もする普通の女の子でしたが、彼女とは何の関係もない戦争・人種差別・ホロコーストが15才のいのちを奪ったのでした。
「私達は皆、幸せになることを目的に生きています。 私たちの人生は、一人ひとり違うけれど、されど皆同じなのです。」(アンネ・フランク)
結局はナチスに捕えられでしまうけれど、多感な少女の明るさはきっと周りの大人たちに小さな希望を与えたことでしょう。
僅か70年前の出来事なのに、あの深い悲しみと絶望、流れた血と涙をすっかり忘れてしまった私たちにアンネの言葉は届かないのかもしれない。 (2014年5月)
世間をお騒がせした一流処の偽装(誤)表示問題。
「偽装とは本当の事を隠し、欺くために誤魔化し、偽る」とあります。 値段やブランドに騙され腹立たしい思いをした皆さん、「偽装」について考えてみましょう。 重大なのは、生命や生活を脅かす「隠ぺい偽装」です。 「耐震偽装」は、多くの人たちが二重ローンを抱え途方に暮れました。 「原発事故隠し(放射能漏れ)」では、多くの人たちを被ばくさせました。 「原発安全神話」「特定秘密保護法」も、偽装と隠ぺいの塗り重ねです。
塗り重ねといやぁ「女性の化粧」。 厄介なのは「嘘の重ね塗り」。 (2014年1月)